村山涼一のマーケティング備忘録 -3ページ目

村山涼一のマーケティング備忘録

日々のマーケティングについて得た知識、考えたことの備忘録

アマゾンが中古車のネット販売を始める。中古車販売のネクステージがアマゾンのサイトに出店する形で、国産車をまず約200台用意する。


サイトでは購入に必要な諸費用を含めた総額を明示。価格は55万円以下の3つに固定し分かりやすくする。アマゾンが中古車販売に乗り出すことで、消費者がネットで車を買う行動が広がる可能性がある。



当初は日産自動車の「マーチ」や富士重工業の「レガシィ」などを扱う予定。価格は33万、44万、55万円の3つ。


ネットは実店舗より人件費など販売コストが減らせるため、低価格に抑えた。


実物を見なくても購入できるようタイヤやバッテリー、エンジンオイルなど主要な消耗品をすべて新品に交換。関東や関西、中部の地域に限って送料無料にする。納車後1週間以内であれば、送料は購入者負担で返品もできる。


消費者は中古車の画像に加え、車の車種や走行距離、年式などをもとに選べる。購入すれば必要書類が届き、返送して手続きが済めば納車される流れ。クレジットカード決済ができ、購入後の金銭のやり取りは不要。購入から最短2週間で車を受け取れる。


アマゾンは自宅にいながら納車まで完結できる仕組みを整え、ネットで手軽に購入してもらう考え。


日本自動車販売協会連合会などによると、2013年の国内の中古車市場(軽自動車を含む)は700万台程度となり、前年比で横ばい。人気の高い軽自動車は増加傾向にある。中古車は低価格なため若年層で購入者が多い。


ネットでの価格比較や商品購入に慣れた若年層を中心に、中古車のネット販売の需要が見込めるとアマゾンはみている。価格を分かりやすく明示することで、中古車専門店の価格戦略にも影響を与えそうだ。


(6/3 日経朝刊)


アマゾンが、中古とはいえ、車のような高額品で、単体だけでなく、関連商品や保険、納品といったソリューションを扱う点が特筆すべくきポイントである。


今後、ネットで高額品×ソリューションがやりとりされることが多くなるだろう。



2016年卒となる大学3年生の就職活動が早くもスタートする。大手就活サイトが6月1日から登録受け付けを開始。


景気回復を受けて人材確保を焦る企業は例年以上に夏からのインターンシップを重視する見通しで、すでに説明会も始まった。


16年卒は学業への配慮から採用選考の開始時期を従来より4カ月遅らせることになったはず。だが、就活はむしろ長期化しそうだ。



15年卒の就活はまだ続いているが、早くも16年卒の戦線が事実上スタートした。


例年、両社は6月に大学3年生向けサイトを開くが、採用に直結しない前提のインターンの募集が中心だった。経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」でインターンは「採用選考活動と一切関係ないことを明確にして」実施すると決めているためだ。


今年は少し趣が違う。「企業規模を問わず、採用活動にインターンを重視している」とマイナビの三上隆次編集長は指摘する。「15年卒の学生を想定通り確保できなかった反省がある」という。


大手企業では一息ついた15年卒採用は、景気回復を受けて採用人数を増やす企業が続出。「奪い合いで募集人数が減った。必要な人材を集めきれなかった」(精密大手)という企業が多かった。学生の「売り手市場」は16年卒も続くとみられ、学生に一刻も早く接触し、有望な人材に目をつけておこうとする動きが相次いでいる。


大成建設や東宝が本格的にインターンを開始するなど「新規参入」が多いほか、人数を増やす動きも目立つ。ソニー損害保険は8月下旬に開くインターンの人数を昨年の2倍の40人に増やす。「他社もインターンに注力するので不安。競合の動き次第で新たな取り組みも検討する」という。


ポータルサイト運営のエキサイトの採用担当者は「今年は他社も大規模に実施するようなので、学生が取り合いにならないか懸念している」とインターン募集段階ですでに不安を募らせている。


企業の焦りを反映するように、人気就活サイト「みんなの就職活動日記」を運営する楽天はインターンの合同企業説明会を昨年より約2週間早い5月13日から始めた。需要が多いと見てマイナビも4年ぶりに合同説明会を開く。



企業が焦る理由はもう一つある。16年卒向けから採用活動のスケジュールが変わることだ。経団連の倫理憲章では会社説明などの解禁が3年生の12月、採用選考の解禁が4年生の4月だった。安倍晋三首相が「学業に専念する期間を長くすべきだ」と要請したことを受け、それぞれの解禁時期を見直し、面接などの採用選考は4年生の8月からとなった。スケジュールの大幅な変更で企業は疑心暗鬼になっている。


インターンを実施する3年生の夏休みから採用選考までの時間が長くなるため、今年は秋・冬インターンも相次ぎ登場する。燃料商社のシナネンは初めてのインターンを10月ごろに実施する予定。川崎汽船も実施時期は秋か冬だという。イオンは夏から秋・冬にかけて実施する。


学業を優先する狙いだったスケジュール変更は逆に、就職活動を長期化させる要因になりかねない。


(5/30 日経朝刊)

グーグルが、家庭のテレビでインターネット動画などを視聴するための機器を発表。


【概要】

専用機器「クロームキャスト」はUSBメモリーよりやや大きなサイズで、高画質な映像の伝送に使うテレビの「HDMI端子」に接続する。無線LAN(構内通信網)のWi―Fi(ワイファイ)通信機能を備え、家庭内の無線LAN経由でネットから動画を取り込みテレビで再生する。価格は4200円でグーグルの通販サイトのほか、ビックカメラやヤマダ電機の店舗で販売する。


【方法】

利用者はスマホやタブレット(多機能携帯端末)をリモコン代わりに使う。初期の設定は画面を数回操作するだけで済み、番組の再生や音量調節などができる。


【利用範囲】

グーグルの動画配信サイト「ユーチューブ」が見られるほか、グーグルの配信サイト「グーグルプレー」から日米の映画やテレビドラマなど約6000作品を視聴できる。このほかNTTドコモの「dビデオ」、KDDIの「ビデオパス」の動画コンテンツも視聴できる。対応サイトは順次増やす。コンテンツの料金は様々だが、グーグルプレーの場合は1本あたり300~400円程度、dビデオは月額500円で見放題。


【狙い】

消費者がユーチューブなどを視聴する機会を増やし、広告収入増につなげる。閲覧者が多いほど、配信する広告の価値が高まる。そのためにグーグルは、低価格で簡単、かつできるだけ多くのテレビや端末を使える方式を考案した。


リアルとネットの融合は、早くから例えばソニーが構想を発表し、リアルから起きると予想されていた。しかしこういう手段で、ネットから、それもグーグルが仕掛けたのがおもしろい。


そしてグーグルだからこそ、これがスタンタードになるように思う。




握手会の警備の手薄などが指摘されている。確かに普通のイベントと比べればそうだろう。


しかし、AKBの握手会は、「コアなファンとの深い絆」が前提として設計されている。だから10秒とかはがしとか、普通のファンクラブでは考えられないようなオペレーションも通用していた。


とはいえこれは、イノベーターたちを前提として、秋元や戸賀崎が作ったシステムである。


現在は、指原が3万以上の得票数で、中間発表で首位となるようなアイドルとなっている。敷衍すれば、ターゲットはレイトマジョリティやラガードといったフォロワーであり、AKBに対するロイヤルティは希薄になっている。その希薄さゆえの支持が指原No1を実現したとみる。


とすれば、握手会のシステム自体の成立要件が異なる。フォロワーを前提とするシステムへの改変が必要だったのだ。


ビジネスでもマーケティングでも、成立与件が変化することに気かず、旧来システムが機能しなくなることは多々ある。


最近よく思うのだが、最近のAKBには秋元の示唆は反映していないのかも知れない。これが、大人AKBや今回の事件から見て取れる。


ファン絶対、ギミカルなイベント、裏切りの人事、感動のプロモーション。そういったAKBのいいところがどんどんなくなっていくのは、残念な限りである。



中堅・中小企業の2015年卒の学生の採用活動は、5月中旬から本格的に始まる。ここ数年は採用を見送っていた中堅中小企業も景気回復で採用意欲を高めている。


-中堅ゼネコンの採用担当者は「夏には採用活動を終えたいが、例年と同様、内定式直前の9月まで続けることを考えなければいけないかもしれない」と話す。公共工事や商業施設の新設が増えて人手が不足しており、今年の30人から50人程度に採用を増やすという。


-情報システム開発の技術者などの需要が高まっている。


-人手不足感が強まっているのは製造業も同じ。


-自動車などの業績が好調で有効求人倍率が全国平均を上回る愛知県。今年の新卒採用でも企業の採用意欲は旺盛。










「デフレの勝ち組」が窮地に陥っている。


【事例】


1.カッパHDの「かっぱ寿司」は「1皿100円」で先行し、より安い魚介類を求める海外調達網を内戦の続くシリアにも拡大。「平日1皿88円」などの低価格を打ち出し、09年までは業界首位を堅持してきた。


 最初のつまずきは低価格へのこだわりが商品の質の低下を招いたことだ。客足が鈍化し、ここ数年は既存店の不振が続いていた。すしネタの海外調達比率は現在、業界では飛び抜けて高い7割超。アベノミクスに伴う円安を受け、1211月以降は食材コストが1割以上膨らみ、1皿5円程度とされる利益は吹き飛んだ。12年度の連結最終損益は7年ぶりの赤字に転落。13年度も赤字が続く見通しだ。


2.円安が誤算となったのは吉野家ホールディングスも同じ。牛丼に使う牛肉を全量、米国から輸入する吉野家HDは2月の輸入規制の緩和を受け、「10年に1度の勝負」(安部修仁会長)に打って出た。


 4月に牛丼の並盛りを1杯280円と100円値下げ。集客底上げによる収益回復を目指したものの、想定外の円安に直面。仕入れコストの高止まりは続く。値下げした牛丼は売れたにもかかわらず、原価率が4%上昇。13年3~8月期の国内牛丼事業の部門営業利益は前年同期比72%減の約4億円に低迷した。


3.1212月期に営業減益となった日本マクドナルドホールディングスもアベノミクスの逆風にあえぐ。マクドナルドの躍進を支えてきたのは05年から始めた「100円マック」。チーズバーガーなどを100円で販売し、消費者の支持を集めた。一方ではこの10年で計6回の価格改定を実施し、メニュー全体では2割以上も値上げ。安さを前面に打ち出す集客策の裏側で定番メニューや限定商品でしっかり稼ぐ仕組みだ。


【背景】

 アベノミクスを受けた消費者の志向の変化。外食市場を見渡すと、好調なのはファミリーレストランなど客単価の高い業種のみ。25日に日本フードサービス協会が発表した11月のファミレスの全店売上高は前年同月比6.4%増という高い伸びを示した。「デニーズ」や「ロイヤルホスト」では1皿2000円を超えるステーキが人気。消費者は少しぜいたくな「ちょい高」のディナーに流れている。



【競争】 

アベノミクスで足元が揺らぐ外食チェーンにとっては過去最高水準の新規出店を続けるコンビニエンスストアも大きな脅威となっている。米コンサルティング会社のアリックスパートナーズによると、12年の日本国内のレストラン市場は約12兆円。15年間で7%、約1兆円縮小した。この間、弁当や総菜など「中食」の市場は約3兆6000億円から約5兆9000億円に60%以上も拡大している。


(日経朝刊12/26)


価値は形態と意味からなる。成熟/安定した社会では、革新幅の縮小、普及限界、細分化の限界となり、新奇性の高い商品、サービスは生まれにくくなる。そのため意味を重視した価値設計となる。


しかしリーマンショック、東日本大震災と、大きな物理的打撃を受けると、生存することが第一となり、低価格で手に入るものに集中した。価値は形態1面的になり、それも低価格が消費の尺度となってしまった。


そこでの雄が、回転寿司、牛丼、ハンバーガーだったのだ。


これが反転、不調となったのは、もちろんムード→家計と消費の潮目が変わったに他ならない。


2014年はこの流れが進むといいのだが、大きな関門が消費増税となる。高額商材において打撃があるにしても、なんとか消費習慣が定着し、生活関連商材では王政な消費が続いて欲しいものである。