上期日経ヒット番付 | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

日々のマーケティングについて得た知識、考えたことの備忘録



4月の消費増税で節約志向が高まり、シニアなどから支持を集めた「格安スマホ」が東の横綱に。一方で増税後も価値ある高額品は好調なため、「価値組消費」とくくり東の大関に選んだ。増税を賢く乗り切ろうとする消費者の選別眼が、格安と高額の両方でヒットを生んだ。


東の横綱、格安スマホは利用料が携帯電話大手の半額以下のスマートフォン(スマホ)。4月上旬にイオンが端末と通信サービスのセットを月2980円(税抜き)で売り出し、8千台がすぐに完売した。ビックカメラも最安プランが月2830円(同)のセット商品を売り出し、急きょ端末を追加するほどの売れ行きとなった。


節約志向は増税前に「駆け込み消費」(西の大関)となって表れた。経済産業省の商業販売統計によると、3月の小売業の販売額は137330億円と前年同月と比べ11%増えた。3月単月の伸び率としては前回の消費税率引き上げ直前の1997年(12%増)に次ぐ水準だ。


増税後も価値組消費は健在だった。青山商事が扱う伊高級紳士服ブランド「ヒルトン」はカシミヤなどの高級素材を使用し、スーツ1着7万9900円と同社としては最高価格帯だ。5月も前年同期比1割増と好調に売れている。セブン&アイ・フードシステムズの「デニーズ」では、4月に発売した「アンガスサーロインのローストビーフ」(税込み1995円)が想定の2倍以上の売れ行きだ。

(6/11 日経朝刊)


理適消費が本格的に開花した、という感想。これを受けて、日経セミナーをやります。お楽しみに。