代ゼミ27校のうち20校閉鎖の理由 | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

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 大手予備校「代々木ゼミナール」を運営する学校法人の高宮学園は、全国に27カ所ある校舎を7カ所に減らすことを決めた。20カ所は2015年度以降の生徒募集をやめる。かつてはトップクラスの人気を誇っていた名門予備校だが、時代とともに変わる受験生のニーズに追いつけなかった。


 1つめは浪人生の減少と現役志向の高まり。入学希望者より募集枠が多い「大学全入時代」を迎え、90年代前半には20万人近くいた浪人生は、今や約8万人と受験人口の1割強にすぎない。競合はいち早く現役生狙いにシフトしたが、代ゼミは出遅れた。



 2つめは国立や理系学部を選ぶ受験生の増加だ。浪人生の減少による苦しさは駿台や河合塾も同じだが、私立文系を得意としてきた代ゼミにとって、理系を選択する受験生が多い今の流れは経営の逆風になっていた。


 3つめは経営効率の違いだ。多くの人気講師を抱える点は東進と同じ。違いは従来型の大教室講義とネット配信授業だった。東進は個室のようなブースでネット配信される講義を受けるスタイルが特徴だ。受講生は時間に縛られずに勉強できる。人気講師の講義を何度も配信できるため運営コストを抑えられる。


(8/24日経朝刊)


この失敗例は学ぶことが多い。浪人から現役というパラダイムシフトに対応できなかったこと、私立文系特化というユニークネスが弱みになってしまったこと、さらに教室中心という旧来方式を転換できなかったこと。


たとえ優位であっても、急激に変わる環境に、パラダイムをシフトしなければいけないということを教えてくれる。