リクルーター制復活 | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

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企業が「リクルーター」の活用に動き始めた。若手社員を出身大学に送り、後輩の学生に会社や仕事をアピールする取り組みだ。採用難に加え、2016年卒からは就活解禁時期のずれ込みで採用期間が短くなる。有望な学生にいち早く接触を試みる企業の危機感の表れだが、人材争奪は一段と過熱しそうだ。


・東洋ゴム工業は今年、7年ぶりにリクルーター制度を復活させる。12月ごろから社員を大学に送り、学生に事業概要や仕事の内容を伝える。16年卒の採用期間が短くなるため、「学生に会社の理解と関心を高めてもらう」(同社)のが狙いだ。


・NECは15年卒の採用活動からリクルーターの人数を従来の1.5倍の約1500人に拡充した。


・ファーストリテイリング傘下のリンク・セオリー・ジャパンは16年卒の採用から導入を検討中。「リクルーターの知り合いの就活生に接触することで求める人材像に近い学生を引き寄せる」(ファストリ)という。


 相次ぐ導入の背景には採用競争の激化がある。リクルートによると、8月1日時点の大学生の就職内定率は78.2%。例年より高いが、「売り手市場」を背景に学生の内定辞退も多く、十分に採れないケースが目立つ。


しかも16年卒からは会社説明会の解禁時期が大学3年の3月、面接の解禁が大学4年の8月からとそれぞれ3~4カ月遅くなる。企業の間では「学生に早期に接触しないと採用競争で遅れを取る」との危機感が強い。


 その点、会社説明会と異なり、リクルーターは個人で学生に広く接触できるのが強み。「普段はこないような企業が挨拶に来るようになった」。北海道のある理系大学の就職支援担当者は打ち明ける。毎年食品メーカーなどに多く人材を輩出するが、リクルーターの訪問が増えてきたという。





(8/30 日経朝刊)