ネットスーパー、住商撤退 | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

日々のマーケティングについて得た知識、考えたことの備忘録

 住友商事は1日、ネットスーパー事業をやめると発表した。成長市場にもかかわらず撤退を決めたのは、配送コストがかさみ黒字化が難しいと判断したためだ。首都圏では大手スーパーが同事業でしのぎをけずる。顧客の伸び悩みに加え、無料配送のサービス競争が重荷になっていた。


 ネットスーパーは「店頭価格と同じ」が一般的だ。店員が宅配箱に商品を詰め、顧客宅に届けるコストが余分にかかる。首都圏では一定額を超えた注文は無料で配送する例が多い。受注が増えないと1件あたり500円ともいわれる追加コストを吸収できない。「売れば売るほど赤字が広がる」(大手スーパー)


 実際、住商もネットスーパーは年間で10億円超の赤字だった。先行するイトーヨーカ堂が店舗から商品を配る方式なのに対して、住商は2カ所の物流センターから東京都中心部と横浜市など広域に商品を宅配していた。商品管理のコストは圧縮できるが、トラックの移動距離は長く配送コストはかさむ。業界では黒字化のカギは「1時間で5軒以上に届ける効率の良さ」ともいわれる。


 矢野経済研究所によると2012年度のネットスーパー市場は940億円。今後5年で2.5倍超と急拡大する見通し。楽天やアマゾンジャパン(東京・目黒)も食品の取り扱いを増やしている。業種を越えた顧客の争奪戦が、さらなる淘汰を招く可能性もある。


(9/2 日経朝刊)


成長期に入り競合が激化すると、淘汰が起きると言うのはマーケティングのセオリー。ネットスーパーの場合は、配送に各種の経済が働いて、淘汰が起きそう。範囲の経済の流通か、規模の経済の楽天、アマゾンか。